シャンプー・リンスのセルフクリーニング
以前から試そうと思っていたセルフクリーニング法があります。というのは、絹製品を洗うには頭髪を洗うシャンプーも有効だということです。仕上げのリンスで更に滑らか、アイロンも楽だということ。
蚕の繭も人間の髪の毛も同じたんぱく質が含まれていて確かにねと納得。理屈を知ればいつものシャンプーリンスで解決。ちょっとググれば随分前からそんな情報は沢山あって、近年では絹のシャンプー洗いはずいぶんとポピュラーになってますよね。
実はつい先日、リサイクルで超お買い得な正絹の長襦袢(見頃は単衣で袖無双)を手に入れたので、それを早速洗ってみました。また、洗った後の長襦袢の縮み具合はどうだったかも記録しました。
リサイクル長襦袢の現状と洗いの実践
上の画像はリサイクルの長襦袢ですが、あまり着られてなかったようで全体的には割と綺麗、特に汚れやすい裾や袖口にも薄汚れ等はほとんど見受けられませんでした。ただ、汗ジミが(抱きジミ)両脇縫いあたりにぼんやりと有りました。時間とともに浮き出てくる汗ジミ、今回はこれが落ちれば御の字です(時間が経ちすぎてるとシミ色は取れないかも)
洗面ボールに水(だいたい30度以下?手をいれても暖かく感じないくらい)を入れ、今使ってる一般的なシャンプーを普段の洗髪時より少な気味で投入よく溶かします。
長襦袢は付いていた正絹の半衿はそのままにして畳んだ状態を洗濯ネットに入れ投入、軽く何度か押し水が繊維に染み込むよう10分ほどつけ置きました。
そのあとは優しくひっくりかえしたりて押し洗い。水の色が若干変わりますが汚れというよりは染料の色かなと思います。時間的に何分もかかってません。
これがもし袖口などに皮脂汚れがあれば、歯ブラシなどで優しくトントンしながら落とすといいですよね。汚れ具合によってはシャンプーをブラシに追加するのも良いかと。毛羽立ちをさせないためにも余り擦らないようにして。
すすぎは2回水を変えての押し洗い。次にリンス(無いので私はトリートメント剤使用)を、まずは少量の水によく溶かしきってから水を追加。(溶けにくいから)量はこんなちょっとでいいんですよね。
押し洗いの要領で長襦袢全体に沁み渡ったら軽く水を切り、洗濯機で脱水します。最後までネットに入れたままです。きついシワになるとアイロンが面倒と思い、回りだしてから10数秒もかけずスイッチオフ。
正絹が縮むのは縦方向だった
水分がけっこう切れたわりにシワがほとんどついてなくて、そのまま湿った状態で縮み具合を計測。前もって洗う前にも計っています。
洗う前が、身丈140㎝と袖丈48、5㎝。洗って脱水し湿った状態では身丈137㎝と袖丈47㎝。ということで、身丈で3㎝、袖丈で1、5㎝の縮み。幅については、袖幅や前幅後幅なども同様に洗う前後で計りましたが全く縮んでいませんでした。要は縮むのは縦方向ということ。
完全に乾いてしまった後での計測では、おそらくもう少し縮むことになると思います。なぜなら絹は乾いていく過程で繊維が詰まっていき縮むから。同じ正絹でも生地の織り方によって多少の違いはあるかも。
この長襦袢生地はよくある綸子地です。幅の縮みはなかったので特に裄丈68㎝の袖幅34㎝に変化がなかったのは助かります。
縮んでもアイロンでほぼ伸ばせる
キモは、脱水後は時間を置かず湿った状態でアイロンをかけること。
アイロンがけは縦方向に。力を抜きアイロン自体の重みだけで表面から掛けます。そうすれば当て布なしでも大丈夫。(注)アイロンの角で強く押すとアイロンの跡(アタリ)が付き取れにくい。
身丈に関してはそもそもが長過ぎたので、このまま縮んだ状態にしておきたいところ。ただ、軽くアイロンを滑らすだけでも微妙に伸びるわけですから、どちらにしても私には身丈がまだ長いので裾上げは必要。(※後日4センチ程この方法で裾上げをしました)
縮んだ割に縫い目の縮みはさほど気になりませんでした。ただ居敷当て部分の背中心が若干糸の引きつれ。でも普通にアイロンを滑らすと気にならなくなりました。
ここで肝心なのは袖丈。縦方向に優しめに軽くひっぱりつつアイロンを滑らせます。アイロンを押し付けて引っ張るのはよくなくて、両手で引っ張ってからアイロンか、片手で引っ張り片方では肘下の腕でおさえつつアイロンなど。こんなやり方で、袖丈を48、2㎝まで戻しました。もう少し伸びそうですがこれで十分。
衿元は布の重なりと縫い糸の多さで乾きにくく突っ張りやすいので、同じく引っ張り気味でかけます。仕上げは布の厚い部分も完全に乾くまで着物用の衣文掛けで休んでもらいます。
絹の感触は滑らかでゴワツキはありません。はたと気付けば、汗ジミがキレイさっぱりなくなっていました!さすが水洗い。(※専門店でなら汗抜き汗じみ抜きはオプション。なぜならドライクリーニング溶剤では落ちないから)
一度水を通せばその先も自分で洗える正絹
最近は「洗える正絹の長襦袢」ってありますよね。あれは、仕立てる前に襦袢地を水通しして先にしっかり縮めてあるのですよね。だからその後は自分でも洗えるということです。(一般的には水通し後は機械で伸ばす工程があるが、洗える正絹の長襦袢は伸ばさない)
だから、もし新たに長襦袢をあつらえるなら、先に反物を自分で水通しし縮ませておくか、またはそのように相談依頼して。が良いと思う。
自分で洗わない方がいいもの
今回のように淡い色系なら気にならないものですが、注意するのは特に淡い色に濃い色の柄がポンポンと入ったようなもの。染めによっては色のにじみや混ざりでちょっと悲惨なことになるかもしれません。また、昔のものにはけっこう縮緬地がありますが縦横思いっきり縮むので危険です。
これからはアイロンがけも時短なシャンプー・リンス洗いで
シャンプーリンス(今回はトリートメント)の効力か、生地のごわつきなく滑らかになりシワも入りにくい。だからアイロンがけもかなり楽に出来るのですね。これならいつでもお洗濯出来ると思いました。