単衣の替え袖(なんちゃって袖無双)の作り方、付け方とコツ

私は、身頃がサラシの二部式襦袢(これ自体「うそつき」といいます)が好きでよく着ています。

私が着物を着るときは踊りの稽古や舞踊ボランティアなどのある日が主で、身支度が気軽に出来て手入れも楽なことが今の自分にとっては大事なポイントなのです。

和服を着始めた頃には「うそつき袖(替え袖)」を一気に作りました。それは、
  • 普段の着物には長襦袢を省略したい
  • 気に入っている着物の専用袖が欲しかった
  • ほかの着物の袖丈と違う着物用に必要だった
  • 柄が好きなハギレの再利用がしたかった
などの理由からです。

襦袢のハギレや羽裏地を買って、または古い着物の袖(薄手の)や羽織の袖裏などを使いました。あの頃は多少の和裁も覚えて、そういうことをするのが面白かったのですよね。

手作りの「うそつき袖(替え袖)」

写真のはその時に作った「うそつき袖(付け袖)」です。直接着物に縫い付けていました。これらは全て正絹ですが、のちにはポリエステルや夏用のポリ絽も作りました。(私は作っていませんが、季節に合わせて木綿や綿レース、麻素材もいいですよね)

後日、これに面ファスナーを付けるので着物から外しておきました。着物に直接縫い付けたそれ専用のうそつき袖よりは、他の着物にも使える方が利用価値が上がると思ったからです。(後日、面ファスナー付けました のページ)
手持ちの着物の袖丈は一般的な49㎝に統一していますが、古いものの中には51㎝・47㎝・45㎝・43㎝丈なんてものもあるのです。

いちいちそれ専用の長襦袢はそろえていられませんよね。そんな時「うそつき袖(替え袖または付け袖)」が重宝するのです。

また、長襦袢(二部式のも)はそう何枚も揃えることなく、袖だけでも替えられたら楽しいもの。そういう意味でも「うそつき袖」というのは便利なアイテムですね。

「うそつき袖」は着物の袖に直接縫い付ける以外に、半衿の付いた筒袖半襦袢に付ける時もあります。大雑把(^^;) な縫い付けで簡単に取り替えられますよ。

たかはしきもの工房さんの各種オリジナル肌着に直接付けたりもします。それはマジックテープ着脱可の作りなので、袖にも同様にマジックテープを3箇所付けてあります(自作の「うそつき衿」も重宝してますよ)

久し振りにまた「うそつき袖・替え袖」を作りました。羽織から外した「羽織の袖」 は、迷った末に結局は「うそつき袖・替え袖」にしたのです。替え袖は何枚あっても困らないですからね(笑)
今回はうすピンクの方を使いました。絞りのは色的に重く着物に合わせずらそうで・・。

普段の着物なら単衣の袖でもいいのです。

冬でも室内は暖かく外は防寒コートがあれば十分。なので「うそつき袖・替え袖」は無双も半無双も作ったことはありません。必要な時は袖無双の長襦袢があるので間に合います。

実際、盛夏以外のシーズンを全て単衣でと決めている人も最近は多いですね(フォーマル以外で)

単衣の「うそつき袖(替え袖)」の作り方

この作り方は、きちんとした和裁仕立てではなくて手間を省いた作り方です。印付けには専用のヘラを使わずにチャコを使用。

袖そのもので説明すると見えにくく分りずらいかなと思い、紙に書きました。着物に直接縫い付けます。ここでは付け方のコツがあり一見「袖無双?」に見えなくもない(笑)私は以前これを「なんちゃって無双」なぁんて言ってました。
使う生地は、元は羽織の袖裏(羽裏)で、長さ99㎝、巾37㎝(羽裏の反巾で両端が耳)です。

出来上がり寸法を、長さ47㎝、巾32㎝としました。(合わせたい着物の袖丈が47㎝で巾が33㎝です)ワタシにしては少々袖巾が狭いですが。

薄い生地はツルツル滑るし歪みやすい。印もつけにくいので注意しながら進めました。三つ折にしなくていいように布の切り端はピンキングバサミで簡単に処理してます。
    ① 布の裏面を見ながら、布を輪にして合わせ、の袖山から計って出来上がり寸法の47㎝(袖底)のところを縫いました(5㎜くらい短くすれば着物とのなじみが更に良くなりますが私はこのままです)端からの縫い代は2、5㎝です。
    (やだ!ピンキングバサミをキンピング・・って書いてるし 恥)
    ② 縫い代を折り上げアイロン。その時さっき縫った縫い目の下を折り目にします(これを和裁ではキセをかけるという)

    縫い代を落ち着かせるために、大まかにおさえ縫いをしました(全くしなくても、中間で一針だけ縫っても大丈夫)
    ③ 袖付け側(振り側)縫い代を3㎝折りアイロン、縫う(アイロンが後でもいいし)端が耳になっているので二つ折りでいい。

    袖口側縫い代を2㎝折りアイロン。同じく耳なのでこのまま二つ折りか、好みで三つ折りに。(耳なので折って縫わなくてもいいのですが、袖口から見る時に美しくないのです)
    ④ 折った袖口縫い代を縫う。見える部分は少し細かめに、見えない部分は大まかでもいい。(袖口部分のみ折って見えない部分は折らずに耳のままでも可)
    最後に、袖口止まりを縫いとめる。
    上記の図でいえば、これで左袖が出来ました。
    右袖なら袖口と袖付けの位置が逆になります(袖底の縫い代は必ず手前に折り上げる)

    ちなみに、全体的にはこんな感じでザクザクと縫いました。裏面には大きな針目、表面には小さな針目が見えるというような。
    目の揃った運針てリズムなんですね。リズムよく縫うには、しっかり布を張れる道具”かけはり器”や”机上くけ台”などがあると便利ですね。

    うそつき袖「なんちゃって無双」の付け方ふたつ

    ここでポイント。私の付け方は、袖を作った裏のまま(上の図の状態で)付けることです。正直そのまま見ると見栄え半減(笑)でも、それにはワケがあります。

    筒袖の半襦袢(半衿つき)に付ける場合

    たとえば筒袖の半襦袢(半衿つき)の袖付け位置に付ける。(着物の肩幅との違いもあるので縫い付け位置を確認しつつ)

    普通に縫い付けるのが安心ですが、袖付け止まり前後と袖山までの間に3か所留めるだけでも大丈夫です。
    袖の見えてる面は「裏」ですよ。内側が「表」です。写真ではたいして分からないけれど、裏が見えてる状態って、正直あまり見栄えの良いものではありません(汗)
    だが、見えない部分でもあり、さっき言ったその「ワケ」がここから分かります。

    着物に直接縫い付ける場合とコツ

    個人的には、着物に直接縫い付けるのが一番好きです。専用の付け袖でもいいし、ざっくり取り付けの替え袖としてもいいですし。

    今回選んだこの着物は47㎝の袖丈ということで、これ専用の「うそつき袖」にしました。(単衣の着物です)

    着物の袖に、仮にちょっと置いてみますが・・
    「うそつき袖」は裏面が出た状態にして、着物の袖の中に入るのです。
    そうすると、着物の袖振りからは、「うそつき袖」の表面が見えることになります。つまり、着物の袖と「うそつき袖」はお互い裏面の向かい合わせということですね。

    着物袖の振りから見えるのはうそつき袖の表側。縫い代始末の見えない表面です。
    これが、その「ワケ」。
    着物の身頃から「うそつき袖」を入れて(袖の左右を間違えないようにそうしてる)着物を裏に返す。袖山をきちんと合わせ、着物の袖付け位置の縫い代部分に縫い付けます。その時「うそつき袖」は着物の振りよりも5㎜くらいひかえます。
    両「うそつき袖」を付け終わりました。
    この時点での状態は、着物は裏で「うそつき袖」は表になっています。

    「なんちゃって袖無双」の「うそつき袖」は付け方にポイントがある

    普通、単衣の袖は、振りから見えるのは裏面です。なんちゃって無双は、同じ単衣でも表面が振りから見えます。そう、付け方が表裏逆だからですね。

    この付け方をすることで「なんちゃって無双」となるわけです。かなり強引ですけども(笑

    市販の「二部式襦袢」を利用する方法

    「うそつき袖・替え袖」って、買えばポリエステルでも絹でも結構な価格です。無双仕立てなら尚のこと。かといって自分で作るのは面倒です。

    私は市販の二部式襦袢も利用しています。無双仕立てでもこんな価格?とびっくりですが・・

    これをどうするかというと、袖を「替え袖」として外し着物に付ける。身頃はうそつき衿として使える。(そのままでも肩巾を切って狭くしてもよし)こういう利用法もありますよ。

    市販の「替え袖」を利用する方法

    替え袖のみも今では豊富に売っていて、激安で選べる柄なら京越卸屋(きょうえつおろしや)
    丈も選べマジックテープ付きで便利~

    後日談
    やっぱり羽織の表地(絞り柄)でも作りました。