リバーシブルの対丈着物と道中着が仕立て上がる⑤

洗い張りした反物でお誂え、「対丈着物」と「羽織」のお仕立て計画 ①から、もう1カ月近く経ったんですね。、と続き、の早々に仕立て上がってきた「対丈単衣着物」に続いて、数日前には「対丈のリバーシブル着物」と「コート風羽織」が仕立て上がってきました。

詳しくは下記で書きましたが、実はコート風羽織は「道中着」に変更になりました。
ではさっそくトルソーに着せてみましょう。

対丈着物、両面着れるリバーシブル着物

対丈ということで衣文の抜き加減は少なめです。バチ衿仕立て(広衿でも良かったのですがこれは伝え忘れていて、お任せしていたらこうなりました)

掛け衿の重なり分の厚みを防ぐために裏表長さをずらしています。袖付け幅を多く。袖丈45㎝。袖丸みは予定の元禄を止めて、普通のより少し大きめな丸みにしました。裄は反巾いっぱいで仕立ててあります。ほか寸法など全ての単衣と同じです。

リバーシブルなので、着物を着たときに袖の振りからはこのように見えています。襦袢袖が有ればここまで見えることもないですが。
 着物の衿は、お互いの色が少し覗きますね。(広衿の場合だったら見えない)
では、それぞれの着た感じをお見せしますね。

薄い黄色地縞に絣の大島、着姿

出来上がって初めに見た瞬間に「丹前みたーい 笑」って言いました。これで黒っぽい掛け衿にするとまさにそれ笑。
(丹前とは、綿入れ半纏の長いやつで家で着る防寒着。どてらという言い方もしたり)
普通なら裏地を付けるとしたら胴裏で、かなり薄い羽二重生地ですよね。それを裏面も表として着られるように(リバーシブルで)同じ紬生地を合わせていますから、それなりに厚いんですよね。空気が挟まって?カサが増すというか。

それで丹前のような感じ?と思いました。ですが、着てるうちに次第にこなれてくるだろうとは思っています。また普通は仕上げにアイロンでピシッと整えるのでしょうけど、そこは省略の状態ですから尚のことでしょう。(そういう方針で個人的に仕立てを引き受けてくれている)

裏(こっちの面で着た時の場合)が茶系なので、この薄い黄色が少し濁った色に感じますよ。裏の色によっても違うものですね。洗い張り前の時には白い胴裏でしたので、その違いがよく分かりました。

きっと半衿(濃い色や柄のほうがいいと思った)や帯回りで雰囲気も変わるでしょうね。

鳶八丈の横段柄 、着姿

同じカサばり感が有っても、やはりこういった色は締まって見えるものですね。あまりカサばりを感じません。私自身も羽織ってみましたが即座にそう思いました。対丈着物としてもこちらの方がしっくりきます。
裾から見える黄色がいいです。(普通の袷仕立ての時に、八掛け地ではなく色柄違いの紬地をつかう場合もけっこうありますよね)

「コート風羽織」か「道中着」かの仕立て替え

当初、形はコート風の羽織にする予定でしたが・・衿を仕立てる段階に入った時、道中着を勧められたのでした。どちらでもいいけれど、これには道中着の方が合うと思う。と、長年の経験者からのアドバイスにあっさりと乗ったわけでした(笑)

アンサンブルで着るとこんな風、少々重い感じ?寒い時には温かそうに見える。黄色とは当然相性いいですね。軽やか。
どちらにしても、両面紬で出来たリバーシブル着物との組み合わせは温かいですよね、きっと♡
袖には振りがありません。男仕立てのように身頃に全部縫い付けています。これで着物の袖丈を気にすることもないです。そして風も入らないので温かいです。
後ろ姿が風情あって好きです。
一応、これを羽織にするとどんな感じ?と、衿を半分に折りクリップで固定して着姿の雰囲気を見てみました。確かに、道中着より羽織の方が見える部分が多いので軽やかさがあります。あとは好みでしょうね。私にはやはり道中着で正解だったよう。

北海道は、羽織人口が少ないように思います。事実、これまでも踊り関係で沢山の着物人(笑)に触れてきましたが、羽織よりも道中着(道行より)が圧倒的に多かったですね。
鳶八丈は元々は羽織とのアンサンブルで、それを洗い張りしたものですが、仕立て替えには着丈を可能な限り伸ばしてもらいました。測ってみると着丈は95㎝ありました。

どの部分から繰り回したのかは分かりませんが、後ろ身頃裾の裏面となる折り返し部分には一部継ぎがあります。そうすることで着丈を出来るだけ長く出来たのですね。
内紐外紐もそれぞれ共布で、無駄なく使って下さったようです。和裁のこういうところも素晴しい♡

おまけの画像。
私の好きな本「名和好子のきもの遊び」の中の、この道中着の雰囲気がとっても好きで、いつか仕立てたいと思っていたのですが・・結果的にこれとイメージが似たような道中着が出来たわけで、かえって良かったかなと思いました。

そして後日の稽古日に~この対丈着物を着て行きました