ある時の失敗談です。
この塩沢お召しの訪問着を、自分で洗ってみたことがありました。ギョギョッ!分かっている人には信じられない行為ですよね。
※その頃、着物洗いに使っていたのがこの家庭用ドライクリーニング洗剤。
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でも、失敗を失敗と思わないのが私。妙に感動しながら無残にも縮みゆくその姿を、凄~~いと叫びながら見入ってて。急いで引き上げたってもう遅いですからね。
それで、もしやこれがあの「お召しは無残に縮む」というやつなのですか?とすれば、これは紬じゃなくて「お召」だったの?と頭の中はクエッションマークで一杯。
仕方ないので、もうそのまま素早く洗ってしまって、ネットに入れ数十秒の脱水ののち、(そのあとも笑えるのだけど)カチカチに小さく縮んだそれを、優しく優しく伸ばしながらアイロンを掛けました。縮んだ分さすがによく伸びるのです。執念で形を整えましたね。
するとね、なんと輝きが!ツヤツヤのシルバーグレー。こんなに美しい織物だったんだと改めて感動した次第でした。
なんとか着物の形には戻りましたが、ちょっと・・人前では着られませんよね。言わなきゃ分からない?かもしれないけれど、着ていて自分が落ち着かないですよきっと。
そのあと「塩沢紬」をネットで調べてみると、これは「塩沢お召し」とか「本塩沢」といわれるものだったと分かりました。「塩沢紬」とはまた別の織物なんですね。
こんな無謀な事が出来たのは、確かに古着だったからこその安易さと、やっぱり無知ゆえのなせるワザ、ほんと考えなしでした。いやしかし勿体ない。
それで後日自分で着物を解いて、専門店で洗い張りと仕立て直しをしてもらったという訳です。単衣なので居敷当ても付けてもらいました。
地味に見えますが、シボのおかげで光の反射効果?着るとパーっと明るくなる不思議で素敵な織物です。いくつになっても着れそうな素敵な着物。
あらためて「塩沢紬」と「塩沢お召し(本塩沢)」の違いを、こちらで知ることが出来ました。https://www.ykya.co.jp/ykh/ykhtale/49.siozawa/siozawa.htm
こうして、失敗は成功のもと・・とか言いながらいろいろ試しつつ、ある意味冒険しつつ、着物を楽しんでいるのです。