未仕立ての帯地から「二部式の作り帯・付け帯」にする、全通柄(総柄)の帯編|「二部式帯」にする理由とその作り方

未仕立ての全通柄(総柄)名古屋帯を「二部式の作り帯(付け帯)」にする|二部式にする理由と、作り方

和装の恩恵、頂き物

西陣織の「袋名古屋帯」を頂きました。(他にも1本、それはまた後日)
やはり踊りの「会」の方からです。着物関係の頂き物って、けっこうみんなが経験する和装の恩恵というやつですね♡
驚いたことに、これは未仕立てのままなのです。気に入って購入したものの仕立てないままに仕舞い込んでいたという、これもありがちなことですよね。

「年齢的にもうムリ!」と言ってましたが、総柄だし「このまま半幅帯にすればまだまだイケるのにー」と返しつつも、ありがたく頂戴しました。
ちょっとラメ糸も混ざっています。裏が渋くて落ち着き感、あえて裏を使うのもアリ。

この未仕立ての帯反物は「袋名古屋帯」といって、タレ先とする部分で折り返され二重になっています。ここがお太鼓部分となるのです。

その二重になった長さを計ると98㎝ありました(身長体形に合わせ約90~100㎝位がお太鼓を作れる十分な長さだと言われていますよね)
普通に1本の帯にするなら、この二重の終わりをかがり縫いし、その上のところで三角にして前帯から手先までを半分に折ってかがり縫いすれば、それだけで「袋名古屋帯」の出来上がり♪(お太鼓の開いてる両端もかがりますが、そのままでも可) なんですが・・
私は、この帯を二部式の帯にしようと思いました。

「二部式帯」にする理由

なぜ、せっかく頂いた帯をわざわざ二部式に切ってしまうかと言うと・・

お太鼓って、基本的に半幅帯と違って帯枕・帯揚げ・帯締め(しない締め方もあるけど)がいるでしょ?選んだり合わせたり。仕上がったら「この帯締め、なんか違うな・・」ってことも有ったりで。考えるだけでもう面倒 笑

使った後の後始末とかも面倒じゃない?それら一連の動作が面倒なわけです。まあ、それも「慣れ」と「お太鼓したい♡の気持ち」に尽きるのでしょうが、それでも私はやっぱり面倒・・が勝るのデス。
なのに、たまーにしか締めず仕舞い込んでることがもったいなくて仕方がない。

こんな私に向いてるのが「二部式の帯」なのです。アレやコレやと「面倒」がる私のハードルを下げるためです。書いてるうちにちょっと恥ずかしくなってきましたよ・・

一番使いやすい「二部式帯」はこのカタチ(個人的に)

去年の10月から今年の春にかけて「二部式帯(作り帯・付け帯)」を何種類か試作してきました(ブログカテゴリー二部式帯・付け帯・作り帯

種類ををまとめると・・

★帯そのものにハサミを入れない方法の「切らない作り帯」。
★「二部式帯」として前帯用とお太鼓用にただ二分割にし自由に形を作れるもの。
★二部式でも、お太鼓部分を一部または完全な形に作った「作り帯(付け帯)」。
★「紐あり、紐なし」仕様や「マジックテープ(面ファスナー)での着脱」方式。

がありました。作ってみて使ってみての結果、この中で自分が一番しっくりくるカタチが決まりました。

自分が作りやすくて使いやすいのは、前帯(手先込み)と、形を一部固定したお太鼓との二部形式の帯です。「二部式」の「作り帯(付け帯)」ということですね。しかも紐や面ファスナーなどの付属は一切なしということです。

※ お太鼓は完全型ではなく、手先の通っていない状態の形です。前帯側に手先が有ることで胴にしっかり巻けて安定するので、紐や面ファスナーは必要ないのです。

二部式「決め手」のポイント

これが「決め手となったポイント」です。
  1. 取り掛かるときの手間が最小限(切らない縫わない作り帯は準備が面倒なので)
  2. 紐や面ファスナーなどが不要(紐を作って付けるのも、締める時の始末も収納も面倒だし邪魔。面ファスナーもそう。何にもないのがベスト)
  3. 固定しておけば、お太鼓の柄合わも不要(全通柄では、よく忘れる私なので)
  4. 畳みやすく収納しやすい(ちゃんとした畳み方、アレ面倒だし、適当に畳むとありがちなお太鼓の収納ジワが・・。紐が付いてると邪魔でもある)
  5. 形に変化は求めない(もう、普通のお太鼓オンリー。でも表情に変化は出せるからそれで十分)
こんなところでしょうか。では、頂いた未仕立て帯で早速作ります。

全通柄、未仕立ての袋名古屋帯を「二部式の作り帯(付け帯)」にする

お太鼓部分

まず、折り返し終わりの部分(お太鼓になる部分)を少しだけ余裕をもって切り離しました。
二重がズレないようにしつつ、お太鼓の大きさ形を決めます。

タレ先は通常自分の人差し指分の長さと言われますよね。身長、体形、好みによりけり。柄合わせの兼ね合いもあって私は少し長めにしました。

横に入る縞柄が上にくるか下にくるかによってイメージも変わります。結果、こんな感じに決めてクリップで仮留めしました。

写真ではタレ先込みで上下の長さ34㎝ですが、帯枕の膨らみ分や全体のバランスを見て調節し35㎝に決めました。ふだん用は小ぶり気味です。帯枕は平らな角出し用しか使いません。

実際付けた時の感じが変だったら、お直しも簡単です。
これをひっくり返すと、始めに切り離した部分がここにきてる(二重)
切り端を折ってタックをとりクリップで仮留めしました(タックをとってから折り込んでも)こうするのは帯山にわずかな丸みを出したいからです。
黒い線のところを何針か縫って固定します(柔らかいとか、帯地によって不安定なら他の部分にも縫い留めたりして)
二重であることと目の詰まった硬い織りは針も通りにくいです。が、硬いほど折り目さえしっかり付いてしまえば、そんなにいくつも縫わなくて大丈夫なものです。

横から見るとこんなふう。手先の通る部分(お太鼓表面)さえ縫ってしまわなけばOKね。(私、過去にやったことあり。えーー!?でしたよ 笑)お太鼓はこれで以上です。

胴に巻く部分(前帯手先込み)

次に、切り離された胴に巻く部分は256㎝ありました。これが前帯(手先込み)で、半巾に折ります。
上の端を手先に、下の端を巻き始めにします。(どちらでもいい。左巻き右巻き、出る手先の柄によって好きずき)
両端を裏返し大雑把に縫う。輪になってる近くは縫わずに。黄色の線のところは、角を小さく切り落とすと、出来上がりがゴロゴロしないですよね。
縫ったところより(ホント大雑把!)も多く折り跡をしっかりつけ、押さえながら表に返す。この端を数センチ縫い閉じるとキレイですがね、このままで。また、巻きはじめの端を斜めにしてもいいですよね。

完成形

出来ました。手先を通しています。
胴部分(手先込み)は巻き始めをずらすことで手先の長さを調節出来ます。また、最終段階で長ければ折り込んで帯締めすればいいし、何度も使えば加減もわかる。
次回の稽古日に早速付けていきましょうか♪
※ この帯の締め方→ 「二部式帯」の使い方、締め方、収納やクリーニングについても

つづき・・六通柄の名古屋帯の場合はこちら