色無地着物救済のハナシ

この間、幾度目かの和箪笥の整理をする中で、紬の訪問着を処分しようか迷ったのち結局はクリーニングに出したわけですが、この着物もそんな迷いの一枚でした。

紫がかった渋いピンクで、しつけが掛かったままの一度も袖を通していない色無地です。染抜きのひとつ紋が入っています。五三の桐(他に見る同じ紋のとはちょっと違うイメージですが)
実はこれ、もとは姉のもので、まだ未婚の時に本人が誂えたものでした。だけれど一度も着ることもなく実家に置いたまま時を経てきました。

それを母の着物類と一緒に私が譲り受けたわけですが、私には裄丈がかなり足りないのです。色的にも当時は好みではなかったので直すこともせずにきました。私自身も色無地はありましたし。。

この色無地が私のところに来て8年や9年は経っているでしょう。私の娘なら着れることが分かったので、子供の入学式にでもと思っていたのですがその本人からは却下(笑)なんてこともありつつ・・

この数年正直存在すら忘れていたこの着物を、今回はなんとかしようと思いました。
久しぶりーーに広げてみて、以前にはなかったアク染みがこれにも・・。この前の訪問着のような酷いアク染みではありませんでしたが。(そこはリサイクルのものとは違う?)

今となってはいい色だと思うし、勿体ないのでなんとか普段にでも着れないかといろいろ考えてみました。

裄直しを前提で、普段にも着られるよう紋に手製の遊び紋でも刺繍してみては?とか。楽天で見つけたこのアップリケならどうかとも考え、アイロン接着だけれど細い糸で縫い付けようと。

けど、そこまでして着たいとは思えない着物かな?とか、これも処分?とか・・。
考えあぐねて数日・・踊りの稽古日にこの色無地のことを話題に出してみました。すると、ありがたいことに着てくれる方が現れて(*´▽`*)

小柄な方でサイズは合いそう。踊りの稽古に喜んで着てくれるとのこと。もちろんこのアク染みのことは説明したうえです。

何も手を掛けることなく着られるのが一番♪

この方、昔は踊りをやっていたこともあり着物をたくさん持っていたそうな。でも数年前に大きな病気にかかったため踊りを辞めて、着物類も全て処分(思い切ってる~)したと前に聞いていました。

去年から健康のためにまた踊りをはじめ、稽古用の着物はまわりの方々より何枚か譲って頂いたそう。

そんなわけで、先日無事にこの方のもとへ。おかげさまでこの色無地は救済されました。時々でも着てもらえれば、虫干し(簡易的に)も兼ねるのでシミが急に増えることもないと思います。良かった。話をしてみるものですね。


ところで、かの訪問着のシミに気づいた時にはさすがに慌てて全てのフォーマル着物と帯をひととおり点検しましたね。この色無地以外は、すべて全くもって大丈夫でした。ㇹ・・

和箪笥は時々風を通してはいるのですが、それでもね。なにかしらのきっかけから起こってくるもの。これから更に気をつけて行かなくちゃ。