琉球絣真綿紬の「対丈着物」デビュー ④仕立て上がりの寸法とバランスの良い着方

何年も洗い張りをしたままに置いていた反物数枚を、先日から仕立ててもらってる最中ですが(洗い張りした反物で仕立て替え)そのうちの「琉球絣真綿紬」で1枚「対丈着物」が仕立て上がってきました(^▽^) 

先日は薄紫色と表現していましたが紺と紫の混ざったような色で、茄子紺という和の色かなと思います。紬生地の拡大。何度触れても、紬はいいです💛

 「対丈着物」の出来上がり寸法を測る

「対丈着物」は、男性の着物と同じように長さ調節のおはしょり分のない仕立てです(それに伴って衿の長さも変わります)

他の部分は、袖付け寸法を多く、袖を短く、袖の丸みを大きく(当初のもっと大きな丸み元禄袖はやめました)など、好みに合わせてもらいました。衣文の抜き具合も少なめ。大まかな希望の寸法を説明したあとは全て和裁士さんにお任せです。

寸法を書いたものは手元にないので、出来上がりを測りました。今後はこの寸法を参考にして、今あるウールの家庭着や一部の普段着物を「対丈」に直していきたいと思っています。

おおまかな目安としてココに記録しておきます。(㎝が自分も分かりやすい)

1 肩巾 33、5㎝ (衿下背中心から袖付けまで)
2 袖巾 34、5㎝  
3 袖付け 24㎝(帯位置が低いのでもう少し多くてもいいかも)
4 袖口 24㎝(踊りの稽古にも着るため一般のより広い)
5 袖丈 45㎝(バランス的にと活動のしやすさで)
6 身丈 133㎝(紐を縛った状態にして、かかとが半分見えるくらい)
7 おくみ 15、5㎝
8 後ろ巾 28、5㎝(減らしてくれたよう・・それについて詳しく下記に記載)
9 前巾 24、5㎝
10 衣文の抜け 2、5㎝(後ろ衿付け中心と肩の差。繰り越しについて下記に記載)

ほか、衿先から裾まで(褄下)が72㎝で、衿の長さが衿中心から76、5㎝でした。

身丈の余り分は内揚げにしていて、ここに繰り越し分も含まれています。
10の、「差」は、背中心の線と身頃の脇線を合わせ、内揚げ線を起点にして肩山と衿中心との差を計りました。この差が大きいほど衣文の抜けが大きいことになります。

繰り越しは2センチで依頼して、プラス「付け込み」という衿の縫い代でこうなりました。

後ろ巾についてですが、私の娘時代の着物も母の着物も全て30㎝にしていました。ここ数年はそれでは大き過ぎる状態になりまして、巻き方を緩くしても身頃の横線が前の方にくるのです。

でも、もうそれですっかり慣れているので特に寸法を変えようとは思いませんでした。また身巾と肩巾の差があり過ぎると、身八つ口から袖付けの線が大きく斜めになるのです。

Aさん(和裁士)ともそんな会話をしていたのですが、仕立て上がりを計って初めて変更してくれていたのに気づきました。ありがたいこと。かえって良かったです。

前巾は逆にわずか0、5㎝のことですが増やしてくれています。「対丈着物」は抱き巾が大事らしく、胸から腰回りがしっかり巻き込みがないと着崩れの元だと話していました。

和服は平面的ですけど、体の厚みや薄さ、胸まわり腰回り(ヒップ)、肩巾や腕の長さ、また首が細い太い、短い長いとか、その人の纏い方などなど・・それによって仕立ても細かく変わります。

いろいろと会話しながら相談でき、着る人の状況個性を理解してくれる和裁士さんが身近にいるということは幸せなことです。紹介してくれた人にも感謝です。

そういえば、この着物に「いしき当て」は付いていません。付けてもらうつもりでしたが、「背ぶせ」を付けたのでその必要はないということです。あえて付けるのも好みでアリですけども。

「対丈着物」デビュー

さっそく着てみました。試着なので、服の上から付け衿のみして着物を着ています。
袖だけにしつけけ糸が付いてる(一番最初に縫い上げるのが袖で、同時にしつけ縫いもしておきます。それで袖を落ち着かせるのと他を縫う間邪魔にならないようにもなります)

他のしつけは省略し、仕立て後の押しも省略しています。専門的に仕事としていないのもありますが、省けることは省き、その手間や時間、代金も掛けないためでもあるようで、「いいかげんだからね」と謙遜しておられます。押しは自分でも出来ることですから十分。

「対丈着物」をバランスよく着るには?

おはしょりのある着物に慣れてしまっている私たちは、女性の「対丈着物」の着姿を見ると、なんとなくのっぺりした印象を受けます。なぜでしょうね?男性の着姿からはそんなことは感じないのに。やはりこれも単なる目の慣れ?

ラフに、これまでより立体的に、例えば衿合わせをいつもよりゆったりめにするほうが合いそうです。同じ対丈でも紬着物だと特にそう思います。

着あがった時に、半衿と着物の衿合わせ中心を持ち、少しだけ浮かせるようにクッと引くと衿元に立体感が出るんですよね。

そして帯を締める位置、私は普段から低めですが更に低く締めてみました。おはしょりがない分の見た目バランスをとるためです。(帯を下げめに締めると、骨盤が安定するしお腹のポッコリも平になる?)

ひと巻き目が上にかなり出てしまって、その分帯巾が広めになりましたが、ほんとは細い帯の方が合うと思います。この辺も好みしょうけど。

近くで見るとこんな風。ぱっと見だと「対丈」とは気がつかないかもしれませんね。
もう少し幅の狭い細帯の方が「対丈着物」らしく好きです。男性の着物姿のイメージが根づいてる?のか、安土・桃山時代の女性のイメージがあるのか?わかりませんが(笑)

おはしょりがないのでスッキリしていますね。寂しい印象に感じられる場合は、帯の色や柄または帯締めをすることでも雰囲気が変わると思います。今度は名古屋帯で試したいです。

最後に、対丈着物を羽織ってからだに巻き付けたら、そのまま1本の紐で着終わる!なーんて楽なんでしょと感激しました。